小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

大型トラック運転手は給料が良い?運送会社の規模が年収の差

大型トラックに乗る理由って何でしょう。

トラックが好きだから?

色々な所に行けるから?

1人で自由だから?

それとも、給料が良いから?

大型トラックの運転手は、普通の事務職や工場の流れ作業の様な仕事と違い、気力も体力も必要なキツイ分類の仕事です。

それなのに、あえてトラック運転手になるのは、頭を使う仕事が苦手だけど運転は苦にならない方が多く、それなりに給料が良いからではないでしょうか。

自分一人の生活だけでなく、家族も養っていくためには、それなりの給料が必要です。

給料が安くては好きなトラック運転手の仕事も選ぶことはできません。

これから大型トラックの免許を取得して、就職や転職をお考えの方に運送会社の給料をご紹介します。

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大型トラック運転手の給料は中小企業より大手企業が有利なの?

ズバリ!トラック運転手で給料が高いのは大手企業です。

とはいっても、トラックなら何でもと言う訳ではなく『大手宅配会社の大型トラック運転手』です。

 

これはあくまでも『給料が高い』というだけで、就業時間や休日をまったく考えていない中での給料と言う事になります。

なので、給料が高いなら大手企業が良い、という選択ではなく、総合的にみて選択する必要があります。

 

大きく分けて、トラック運転手の年収は以下の通りです。

①.大型トレーラー運転手:450万

②.大型トラック運転手 :400万

②.中型トラック運転手 :380万

③.準中型トラック運手種:350万

これは、一般的なトラック運転手の給料の平均です。

もちろん、これより少ない所もあります。

 

この一般的な給料にプラスされるのが、運送会社の業種の違いです。

● 一般雑貨・冷蔵・冷凍

 ネットショッピングやお中元、お歳暮も含めた個人取引やコンビニ輸送、会社間の商品のやり取りをすべて運びます。

 この業種を取り扱っている運送会社が最も多いので、求人募集もこの手の会社が最も多いです。

 

● コンテナ輸送

 主に海上コンテナ輸送と言われ、海外からの輸入品を依頼主の元に運びます。

 陸上の輸送はトレーラーが多くをしめており、コンテナには封印がされているため、運転手が荷物を触る事が少ないです。

 

● ガソリン等危険物

 ガソリンスタンドや危険物を取り扱う向上への輸送を行います。

 運ぶものが危険物の為、運手種が危険物取扱の免許を取得、所持して居る必要があります。

 

● 建設機械

 建物や道路などさまざまな建設に使用する建設機械(例:ショベルカー・ブルドーザー等)を建設現場まで運びます。

 重機運搬車は大きいものはトレーラーを使用し、通常のものはセルフローダー等を使用します。

 

● 車輛輸送

 新車、中古車の乗用車を新車工場や中古車オークション会場から自動車販売店まで運びます。

 車輛を多く乗せて運ぶことが多く、キャリアカーと言われるトレーラーで運ぶことが多いです。

 

● 鮮魚・活魚

 漁港から魚市場、魚市場から鮮魚店、お寿司屋さんなどに運びます。ちなみに鮮魚は冷凍、活魚は生きた魚を運びます。

 市場の朝は早く、漁港から水揚げされた魚たちの鮮度を重視し、市場に運ぶ時はとにかく急ぎます。

 

● 木材・鋼材

 とにかく山から切り出した木材をひたすら工場や置き場へ運びます。鋼材は工場から工場をひたすら運びます。

 この業種はとにかく荷物が重いです。なのでほとんどがトレーラーのお仕事になります。

 

● ダンプ・生コン

 道路工事の現場で良く見かけますが、ダンプは土砂や砂利などを運びます。生コンはコンクリートを運びます。

 基本的には1日同じ現場と積み込み場所を行ったり来たり、現場ではバックで進む事が多く体力的には楽な方です。

 

この様な業種の他にも、細かく挙げればまだまだたくさんありますが、大きく分けるとこんな感じです。

この業種の違いによって、給料は少しずつ変わってくると考えていいと思います。

 

さらに、この業種に加えて給料に差をつけるのが『走行距離』です。

いわゆる、長距離、中距離、近距離の様な1回の運送でどれだけの距離を走るかが焦点になります。

長距離は何kmという明確な定義はありませんが、大体以下の通り位と認識してもらえればいいと思います。

 

● 長距離:約900km

 例として東京~福岡の様な1000km以上の場合を長距離と言います。

 長距離トラック運転手は基本的にトラックで寝て、起きてを繰り返し、家に帰りつくのは1ヵ月に1回なんて事もざらにあります。

 

● 中距離:約600km

 例として、東京~大阪の様な500kmを超えると中距離と言います。

 中距離トラックの運転手は、基本的に1泊2日、長くて2泊3日で仕事を終えますが、次の出発まで時間が短い事が多いので、家に帰らず会社で仮眠する事があります。そのため家に帰るのは1週間に1回なんて事もあります。

 

● 近距離:約300km

 例として、東京23区や隣接する県位まで走るのを近距離と言います。

 近距離トラックの運転手は、基本的に毎日家に帰って寝る事は出来ますが、就業時間が日中とは限らず早朝や夜間などは当たり前で、徹夜のぶっ通しなんてこともあり得ます。

 

この様に、距離での違いが給料への影響を与えます。

特に長距離になると1運航の運賃が高くなるので、その分給料に反映されます(給料に反映されないならブラック企業かも)。

 

これまでの情報から、中型トラック運手種より大型トラック運転手の方が給料が良いというのが分かります。

さらに、運送する距離によって給料に差が出ると言う事も分かります。

と言う事は、大型トラックで長距離を走れば給料が良いと言う事になります。

ただ、それだけでは大手企業だから給料が良いという理由も成り立ちません。

トラック運転手として、より高い給料を手に入れたいのであれば、その運送会社が高い給料を払えるような荷物を持っているか?に限ります。

 

小企業や中企業で持っている仕事の多くは、下請けであれば良い方、普通は孫請け、ひ孫、玄孫なんてことも有り。

ここまで中間マージンを取られると、運賃はあまりいい状態の金額ではありません。

運賃の良い状態で仕事を持っているのはどこか?それが大手企業です。

特に荷主と直接取引をしている場合の荷物は、中間マージンをまったくとられていない状態の運賃なので、いたって正常な金額だと思います。

その正常な運賃で荷物を運べるのが、大手運送会社のトラック運転手ですね。

ですので、それに比例して給料が良くなるという構図が出来上がるわけです。

まとめ

大型トラックの運転手になって、できる限り高い給料を狙うのであれば大手運送会社を希望する事です。

ただし、大手の場合は運転手に対する教育も厳しく、サラリーマン運転手になる必要があります。

サラリーマン運転手とは、ビシッと制服を身に着け、たまにヘルメットをかぶって運転したり、デジタルタコグラフによる運転点数が評価になったりと、会社の管理下にしっかりと置かれ、普通の会社員と変わらないと言う事です。

安定した給料と少しばかりのボーナスは大手企業ならではです。

家族を養うための仕事として、運送会社を選ぶのであれば、大手企業をおススメします。