小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

運送会社に入る前に知っておきたい長距離トラック運転手の一日

大型トラックの免許の取得考えていますか?サラリーマンから運送会社への転職を考えていますか?

ゆっくり考える暇があるなら転職サイトやハローワークに通って色々調べてみて下さい。

 

トラック運転手の仕事は結構種類があります。

その色々な種類の中から自分に合うものを探し出すのは至難の業です。

 

特に運送会社はまさに超ブラック企業から、ホワイト企業までさまざまです。

インターネットや情報誌などでは、仕事の概要は見えても会社の実情までは見えません。

だからまず面接に行ってみて、会社の規模、受付の対応、人事担当者の対応、トラックの台数や新車割合など、見るべきポイントをしっかり目に焼き付けて下さい。

 

そのすべてが自分に合いそうな会社であれば、とりあえず就職してみましょう。

運送会社は入ってみて、働く人、給料、仕事内容がはっきりわかります。

もし、あれ?なんか違う、と思ったら即退職です。

運送会社は、一般企業のサラリーマンの様に長く勤める事に意味を持ちません。

すばやい判断と決断が、自分に合った運送会社を見つける為の手段です。

 

では、ここからが本題です。

運送会社に入ってトラック運転手になろうかな、とお考えであれば興味ありませんか『長距離トラック運転手』。

せっかくトラック運転手を目指すなら、長距離トラック運転手にはチャレンジしてほしいです。

長距離トラック運転手は、会社の規模や運ぶ荷物によって、給料や辛さが違います。

ただ、体力に自信が無くても、運転に自信があるなら大丈夫、仕事なんて慣れてしまえばみな同じです。

では、今回のテーマ『長距離トラック運転手の一日』についてご紹介します。

 

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運送会社で大型トラックに乗ろう、長距離トラック運転手になる前に知るべきこと

サラリーマンから始めてトラックに乗る方や、新卒、第二新卒でトラックに乗る方など、これから運送業界に挑戦する方がトラックの特性について知っておくことはとても大切です。

長距離トラック運転手は、はまるととても楽しい仕事です。

だけども、そこはトラックという未知なる乗り物、乗用車感覚で運転してしまうと大惨事を招いてしまいます。

これだけは、知っておいてほしい所のトラックの大きさに対する注意点を簡単にまとめました。

 

トラックのサイズを小型・中型・大型で比べてみる

<小型トラックの条件>

いわゆる2トン車ですね。運送会社では宅配などのお仕事が多いですね。

  • 全長:4,700mm以内
  • 全幅:1,700mm以内
  • 全高:2,000mm以内
  • 最大積載量:3,000kg以内
  • 車両総重量:5,000kg以内

<中型トラックの条件>

いわゆる8トン車ですね。運送会社では平ボディのお仕事が多いかもしれません。

  • 全長:12,000mm以内
  • 全幅:2,500mm以内
  • 全高:3,800mm以内
  • 最大積載量:6,500kg以内
  • 車両総重量:11,000kg以内

<大型トラックの条件>

いわゆる10トン車ですね。運送会社ではウィング車が多いですね。

  • 全長:12,000mm以内
  • 全幅:2,500mm以内
  • 全高:3,800mm以内
  • 最大積載量:6,500kg以上
  • 車両総重量:11,000kg以上

このサイズ比較を見てみると、中型車と大型車のサイズは一緒ですね。

なので、宅配業以外の運送会社へ入るのであれば、大型トラックのサイズは乗りこなせないといけません。

 トラックの全長に注意するべきこと

全長は12,000mm以内となっていますので、ほとんどの大型トラックは12,000mmギリギリで作られています。

全長が長いと言う事は、それだけ交差点を曲がりにくいと言う事につながってきます。

大型トラックで曲る時に最も注意してほしいのが、死角でも突っ込んでくる二輪車(自転車)です。

交差点の手前でしっかり停止して、しっかり確認してないトラック運転手も悪いのですが、二輪車は自分の事は分かるだろうと思って突っ込んできます。分かっているならトラック運転手も止まるのですが、死角に入られたら止まろうにもそもそも気づいていません。

そんな交差点での事故が多いので、注意するべきこととして覚えておいてください。

トラックの全幅に注意するべきこと

全幅は2,500mm以内となっていますので、トラックの横幅の広さに注意が必要です。

横幅が広いと言う事は、それだけ狭い道路をはみ出さない様にしなければなりません。

道路の事は国土交通省のサイトで調べれば分かりますので、気になる方は見てみて下さい。

www.mlit.go.jp

道路の幅は、高速道路や有料道路、一般道ではバイパスなどは広く作られているので、居眠りや脇見をしない限りはみ出すことは無いのですが、一般の市道や県道はそう広くありません

大型トラックの後ろを走る機会がありましたら、道幅とトラックの幅を見比べてみて下さい。

それはそれはギリギリの幅をはみ出さない様に走っていると思います。

大型トラックではみ出しに注意してほしいのは、クネクネ曲った山道です。

大型トラック同士はもちろんですが、普通車も山道では右カーブで思いっきりはみ出す方がいます

それと同じように大型トラックがはみ出していたら、普通車はペシャンコになってしまいます。

山道やカーブの多い道でのはみ出しは、トラック運転手にとっては恥ずかしい事ですので注意しましょう。

トラックの全高に注意するべきこと

全高は3,800mm以内となっていますので、トラックの高さに注意がいりますよ。

高さは大丈夫でしょ?と思うかも知れませんが、それがそうでもないのです。

これは実際に私に起きた事なのですが、大分県で線路の橋げたをくぐろうとした時、高さ制限表示を見逃し突っ込んだ挙句、半分入ったところで引っかかってしまいました。

少し高さが気になり徐行しながら突っ込んだので、大事には至りませんでしたが、前には進めずUターンも出来ない狭さの道で、後ろは大渋滞と言う事もあり、反対車線をバックで500m戻りました。

500mの距離を大型トラックでスムーズにバックできたのは、ダンプトラックで鍛えたからでしょう。

それはさておき、トラックの高さは意外なところでトラブルになる可能性があります。

特に初めて行く場所のトンネルは要注意です。そういった場所の高さ制限表示を見逃さない様に注意してください。

 

 

運送会社で大型トラックに乗ろう、長距離トラック運転手の一日は

トラックサイズが大きい事で考えられる注意点は何となくご理解頂けたでしょうか。

よく分からないかもしれませんが、頭の片隅に入れておいて頂くと、実際に大型トラックに乗る事になれば何となくわかるかと思います。

さて、大型トラックの中で、最も過酷と言われる長距離トラック運転手、そんなに過酷なのか実際の運行時間をご紹介します。

ただこの運行時間は、会社の規模や運ぶ荷物によっていろいろありますので、参考としておいてください。

 

長距離トラック運行日程(上り)

区間:福岡県(積み) ~ 名古屋(降ろし) ~ 千葉県(降ろし)

日程:翌着(要は明日まで)

荷物:ジュース(パレット積み・手降ろし)

移動:全線高速(じゃないと無理)

 

この運行日程は結構定番でした。

朝8時に積込み場所へ到着し、工場のリフトマンがパレットに積まれたジュースをせっせと積んでくれます。

 

私は、積まれたジュースとジュースのすきまに発砲スチロールの板をはめ込むだけです。

積み込み完了が大体10時です。荷卸し場所への納品伝票を受け取って出発進行です。

工場を出発したら最寄りのインターチェンジより即高速道路へ侵入して、ひたすら降ろし一か所目の名古屋へ突き進むだけです。

 

福岡県から名古屋までは約800kmありますので、大型トラックだと約10時間はかかります。

高速道路は意外に坂道が多く、大型トラックに荷物を満載していると坂道の上りがかなりキツイです。

特に中国自動車道路は、曲がりくねってるし上り坂が急だしで大変です。早く山陽自動車道路に切り替えたくてしょうがありません。

 

そんなこんなで走り続けていると、東京までの中間地点でもある大阪は吹田ジャンクションを通過します。

その距離、約650kmで時間にして約8時間です。ここまでくれば名古屋は近い。

 

あれよあれよと名古屋の降ろし場所に到着この時18時です。降ろす時は手降ろしなので、トラックの荷台からはリフトで降ろし、降ろした後に定位置のパレットへ積み替えるという感じです。

ジュースのケースなので少々重いですが、大したことありません。約1時間で荷卸し完了です。

 

休む間もなく最終目的地へ出発です。名古屋を出て即伊勢湾岸道路に侵入します。

伊勢湾岸道路から東名高速道路へ切り替えれば東京は目前です。

ちなみに、名古屋から東京は約400kmで大型トラックで約5時間と言ったところです。

 

東名高速道路から見える海を眺めながら(脇見は危険です)静岡県を通過、富士山を横目に神奈川県に入ったら横浜を待つばかり、横浜を過ぎれば東京首都高速3号渋谷線に切り替えです。

 

ちなみに、東京の首都高速を車で走ったことありますか?乗用車ではスイスイ行けるあの道は、大型トラックで初めて行くとサイドミラーと防音壁が超ギリギリでびっくりします。

さらにナビが付いていない場合は、事前にコースを頭に入れておきましょう。その複雑な道路を感で走るのはかなり危険です。

 

さて、首都高速も終わり目的地の千葉県に到着です。

ここまでの走行距離。約1,200km、時間にして約14時間です。やはり全線高速道路は楽ですね。

千葉県の荷卸しは早朝しかできませんので、本日の業務は終了です。終了時間午前1時。

これからは、ガソリンスタンドで燃料を満タンにして、ガソリンスタンドのお風呂に入って、近くのトラックステーションや、食堂、たまにコンビニでご飯を食べて、満腹状態でトラックのベッドで就寝です。

 

早朝6時起床です。

荷卸しは朝早くからたたき起こされますので少々辛いです。

荷卸し自体は手降ろしで、パレットに積みなおすイメージです(名古屋と一緒)。

これも大体1時間で終了し、納品伝票に受領印を頂いて、完全に上りの運行日程完了です。

 

長距離トラック運行日程(下り)

区間:茨城県(積み) ~ 福岡県(降ろし)

日程:翌着(要は明日まで)

荷物:インスタント食品(手積み・手降ろし)

移動:全線高速(じゃないと絶対無理)

※先程の上り完了の同日です。

 

この下りの運行日程は慣れない内は地獄でした。

インスタント食品なので1箱は軽く片手で持てる重さでしたが、問題なのはその個数です。

 

私が主に乗っていたトラックは、低床4軸のウィング車で荷台の箱がかなり大きいものでした。

その箱に詰めるだけ積むのですが、個数にして約7,500個です。

 

大きさもそこそこあるので、荷台の箱にパズルのように天井いっぱいまで詰め込んでいく必要があります。

 

夏場は地獄です。なれるまで地獄です。なれてもキツイですが、積み込むスピードが上がる分疲れも少しずつ減ります。

 

そんな地獄の手積みを完了し、納品伝票を受け取りふるさと福岡へ一直線です。

 

この積込みは大体4時間位かかりますので、出発は11時~12時です。

上りの運行日程の逆になるので距離や時間は大体想像がつくと思いますが、上りには名古屋のワンタッチが付いていたので、一直線の下りは少しだけ早く到着できますね。

 

と言う事で出発、茨城県12時出発しても福岡県に着くのは日付変わった午前1時位ですね。

 

ここの荷卸しも朝6時からなので、本日の業務終了です。

荷卸しが完了して、積み込みまでの時間を考えると、家に帰ってのんびり就寝はできません。

なので、トラックの中でご飯を食べて、トラックのベッドで就寝です。風呂は?と思うかも知れませんが、1日や2日は風呂に入らなくても死にはしません。

 

朝6時起床です。

ここでの荷卸しも朝早くから叩き起こされるので辛いです。

しかも、荷台に乗っているのは約7,500個のインスタント食品です。それを1箱ずつ互い違いに組みながらパレットに積んでいきます。

 

この荷卸し作業も、もちろん積込み同様4時間かかります。

 

夏は汗が止まりません。冬場でも汗だくになって風邪ひきそうです。

 

そんなこんなで下り運行日程完了です。

お疲れ様でした。

 

というのもつかの間、次の積込み場所へ移動していきます。

この様に長距離トラック運転手は色々な場所に行けて楽しいのですが、十分な睡眠がとれない日が続いたり、手積み手降ろしが非常い辛い時もあります。

ただし、運転中は1人ですね。人間関係にストレスを感じているなら、長距離トラック運転手になって人とのしがらみから抜け出してみてはいかがでしょう。

 

最後に

長距離トラック運転手の一日は何となく理解できたでしょうか。

長距離トラック運転手は、給料が良い分仕事はキツイです。

長距離トラック運転手は、いろんな土地に行ける1人旅に似ています。

せっかく大型トラックの免許を取得したなら、運送会社を探してみましょう。

運送会社を探し出したら、せめて面接だけでも受けてみてはいかがでしょう。

そこまでくればトラック運転手の道がみえてきましたね。長距離トラック運転手になれる事を応援してます。

頑張ってください!