これから運送会社で働こうかなと思われている方も、すでにトラック運転手として働いてる方も、1度は聞いたことがあると思う『運行管理者』という資格。
運行管理者ってなんだろう?と少し興味がある方も、資格なんて興味なし!という方も、この先運送業界で働き続けるなら知っておいて損は無いですよ。
今回は、運送会社や観光バス会社に必ず1人はいる運行管理者についてご紹介します。
自動車運送事業の運行管理者とはどんな仕事をする人なのか
運送会社に就職や転職をして、トラック運転手として働きだすと分かるのですが、毎日違う荷主の所に荷物を積みに行って、配送先までの道順や高速道路の使用許可、配送先への到着予定時間がしっかり決められています。
その指示をしっかり守って到着予定時間に荷物を届けるのが、トラック運転手の使命です。
そのトラック運転手への運行指示をしているのが『運行管理者』です。
その他にも、運行管理者はトラック運転手の健康管理も大切なお仕事で、トラック運転手が出勤してきた時に、体調は悪くないか、飲酒によるアルコールは残っていないか、睡眠はしっかりとれているかなど、トラック運転手1人ずつ安全運行に支障をきたさないかを見ています。
さらに、運行管理者にはトラック運転手が体調を崩さない様に、運送会社に休憩室や仮眠室などを整備、提供する事も仕事の一つに入っています。
この様に、運行管理者は運送会社にとっての生命線である、トラック運転手を守る仕事をしていると言っても過言ではありません。
自動車運送事業の運行管理者になる為に必要な資格と努力
自動車運送事業を営む会社、いわゆる運送会社には必ず運行管理者が選任されています。
運行管理者を選任する人数も決められていて、事業用自動車(運送用トラックで被けん引車除く)が29両までは運行管理者は1人必要で、30両から59両までは2人必要になり、それ以上になると3人4人と増やす費用があります。
運行管理者の仕事の特性上、トラックの車両数と運転手の人数はほぼ比例するので、それに合わせて運行管理者も増やさないと、トラック運転手の健康管理や安全運行を管理する事は到底できませんね。
こんな大切なお仕事をする運行管理者になる為には、国土交通大臣指定試験機関の行う運行管理者試験に合格する必要があります。
< 運行管理者試験の受験資格 >
運行管理者の試験を受ける為には、以下のいずれか一つに該当しなくてはいけません。
①.実務経験1年以上
試験日の前日において、自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く。)の用に供する事業用自動車又は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(緑色のナンバーの車)の運行の管理に関し、1年以上の実務の経験を有する方。
これは、現時点で運送会社で働いていて、トラックの配車を任されているような方が対象ですね。
これから運送業界に入ろうという方は、トラックに乗ることが先決ですので、これには該当しません。
②.基礎講習修了
国土交通大臣が認定する講習実施機関において、試験の種類に応じた基礎講習を修了した方。
これは、実務経験も無く、トラックの事も知らない、しかも運送業界の事も知らない方が、運行管理者の試験を受ける資格を得る為の講習です。
これから運送業界に入ろうという方や、トラック運転手として働いているけど運行管理者の実務経験はないという方は、この講習を受ければ、運行管理者試験を受ける事ができますね。
③.基礎講習修了予定
国土交通大臣が認定する講習実施機関において、試験の種類に応じた基礎講習を受講予定の方(試験日の前日までに基礎講習を修了予定の方)。
これは、②の基礎講習を修了してないけど、運行管理者の試験の前には修了する方が対象ですね。
この様に、運行管理者の試験を受験するためには、必ず予備知識を持って受けなさいと言う事ですね。
では、この中でこれから運送業界に入ろうとする方が、目指すべきものと言えば『基礎講習』ですね。
< 基礎講習を受ける >
基礎講習を受ける為に必要なものは、平日3日と8,700円です。
お仕事をされている方には少々厳しいのですが、基礎講習は平日の3日間で行われます。
また、運行管理者には貨物と旅客があるように、基礎講習にも貨物と旅客がありますので注意してください。
①.基礎講習時間割
1日目)10時~17時
- 自動車運送事業に関する法令
- 運行管理の業務に関する事
- 事故防止に関する事(適性診断)
2日目)10時~17時
- 道路交通に関する法令
- 運行管理の実務に関する事
- 道路交通に関する法令(労働法等)
3日目)10時~16時
- 試問および解説
- 運行管理業務に関する事
- 自動車運転者の指導教育に関する事
- 事故防止に関する事
- 修了証書と手帳交付
最終日にもらえる『基礎講習修了証書』か『運行管理者講習手帳』のコピーが運行管理者試験を受験する時に必要なります。
この講習を行ている機関は、独立行政法人自動車事故対策機構という所で、講習の予約も以下のサイトで可能です。
この基礎講習を受講する事で、運行管理者試験を受験する資格を得る事が出来ます。
これから運送業界に就職や転職をしようかと考えている方にとっては、少々難しい講習の内容になっています。
興味がある方は、道路交通法や労働基準法を調べた経緯があるかもしれませんが、ほとんどの方は法令に関する興味も知識も有りません。
この法令が、範囲が広く言葉の意味も理解しづらくなかなかの手ごわさです。
基礎講習をしっかり受講しても、復習や過去問題集をやりこまないと運行管理者の試験は難しいかもしれません。
ではなぜ、運行管理者の資格を取得しておいた方が良いのでしょうか?
運行管理者の資格取得で得する事が出来るかもしれない理由
運行管理者は自動車運送事業を行う上では必ず必要になります。
大手運送会社になると、運転を業務とせず、事務職でトラックの配車をしている方は、ほとんどが運行管理者資格の取得を進められます。
それなりに車両数も多くなると、運行管理者の人数も必要になりますので、資格取得だけしておいてもらう事が多い様です。
これが、中小の運送会社になると、その会社の代表者(社長)と、配車をされている方位が持っているだけ、なんてことが多くあります。
ちなみにですが、運行管理者の試験を受験しなくても資格を取ることができる方がいます。
試験免除の方法が詳しく書いてあって分かり易いですね。
しかし、これからトラック運転手として働くなら、実務経験はありませんので運行管理者試験で合格するしか方法はありません。
ではなぜ、運行管理者の資格を取得しておけば得するかも知れないのか。
運行管理者は運送事業をするうえでは必ず1人選任する必要がありますが、もし現在の運行管理者が退職したらどうしましょう。後任の運行管理者を探すか、運行管理者資格を取得させるか、社長自ら運行管理者になるかですね。
そんな時、運行管理者の資格を持っていると、もしかしたら選任されるかも知れませんよ。
もし、運行管理者に選任されたらと考えると。
その1.歳をとってもできる
トラック運転手は運行管理者になれませんので、本当に選任されたらトラックは下りる事になると思います。
もし、そのまま運転手として働きながら、名前だけ運行管理者になってくれ、との事であれば断りましょう。
ちゃんとトラック運転手としてではなく、事務職や整備職で運行管理者になれるなら、歳をとってもできる仕事なので快諾できますね。
その2.定年まで働ける
トラック運転手のお仕事は、若いうちは何とか頑張れますが、歳を重ねるにつれて体力的にも精神的にもキツイ仕事です。
それが、運行管理者に選任されることになれば、会社にとっても自分にとっても大助かりです。
その運送会社が働き甲斐のある会社であれば、快く選任を受け定年まで頑張って働きましょう。継続雇用もあるかも。
その3.配車担当に仕事はつく
運行管理者の多くは『配車係』を業務としている事が多く、配車係は通常の定期便から突然の依頼便までしっかりとトラックを割り当てる事が仕事です。
その突然の依頼便に快く的確に仕事をこなしてくれる配車係は、荷主にとって大切な存在となります。
要は、この会社の配車係に頼めば何とかしてくれると言った頼れる存在となり、良い仕事も自然と舞い込んでくるようになります。
この様に、配車係の仕事で自社も荷主も良い関係を築く事が出来るので、会社にとっても必要な人材になるのです。
そうすると、自然と対価となって現れる事になるでしょう。全くならないなら独立開業を目指す手もありますね。
運行管理者資格の合格割合と合格するための秘訣とは
運行管理者の全国合格者割合は、平成29年度第1回試験では『35%』となっています。
貨物の受験者数は『37,774人』で合格者は『13,238人』となっています。
受験者は、実務経験1年以上か、基礎講習を修了した方なので、それなりの知識はあるはずですが、合格率は非常に低いですね。
やはり、これは運行管理者試験の難易度が高いという事が原因で、特に法令が何をどう覚えていいか分かりません。
でも、過去問題集をみっちりやって、基礎講習の内容と照らし合わせながら復習をするとクリアできない問題ではありません。
それでも、社会人になっても勉強しなくてはいけないのは少々辛いですね。
トラック運転手になろうと思ったきっかけが、会社の昇格試験がイヤだからとか、会社で色々資格取らされるからとか、であれば、本末転倒ですね。
それでも、何とか頑張って運行管理者資格を取得しておこうと思うけど、独学は苦手、一人で勉強はモチベーションが維持できない、とかいう悩みであれば良いのがありますよ。
ちょっと料金がかかりますが、合格率はグンッと『64.7%』まで上がっている様なので、効果はありそうですね。
ちなみに、東京・名古屋・大阪・福岡では『基礎講習』も実施されているようですね。
基礎講習の料金はどこで受講しても変わらない(8,700円)ようですね。
ここまで読んで頂いたと言う事は、少し興味がわいてきたかと思います。
せっかく就職や転職で運送業界に入るなら、万全の体制で入ってやりましょう!
最後に一言
トラック運転手のお仕事はキツイです。特に手積み手降ろしは、ものすごくキツイです。
歳を重ねると、体力的につらくなるのはもちろん、運転という職業上、精神的にもつらくなります。
そういう時に必要な資格をあらかじめ取得しておくなら、出来るだけ早く取得する事をおススメします。
最終的に運送業界でトラック運転手として生涯を全うするなら、運転免許以外は必要ないかも知れませんが、資格を取得しておくことで、もしもの時の支えとなるかもしれません。
この機会に是非とも運送業界のスキルの一つを手に入れてみて下さい。