小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

大型トラック運転手に転職したいなと思っているサラリーマンへ

サラリーマンから大型トラック運転手に転職しようかな、転職したいなと考えている方はどれくらいいるのでしょう。

サラリーマンとひとまとめにすると、なんか違う様な気がしますが、規則正しい時間に会社に出勤し、与えられた事務処理、飛び込みやルートなどの営業活動、帰る前の伝票処理、そして残業してからの帰社。

この様に、毎日ほとんど同じ様な内容を、毎日淡々とこなす仕事をしている方をサラリーマンと呼ぶことが多いです。

この様な仕事をしているサラリーマンの多くは、色々な希望や期待、不満や不安を抱えて過ごしている事と思います。

 

希望や期待は、昇進や昇給と言った、その会社で働き続けた時の自分の未来を、想像する事ができると持てるものですね。

それでは、不満や不安は何に対して持っているのでしょう?

これは、人それぞれ違いがあります。

給料に対する不満、上司に対する不満、仕事に対する不満、待遇に対する不満など、あげればきりがありません。

さらに、倒産の不安、出世の不安、職場内の人間関係の不安、対得意先の人間関係の不安など、さまざまな不安要素もたくさんあります。

 

これらすべてを払拭する事はできませんが、大型トラック運転手への転職を考えているなら、自分の中で最も大きい不満や不安を払拭できれば良いという気持ちで考えておきましょう。

ハッキリ言って大型トラック運転手は、楽しい仕事ではありますが、体力的にはキツイ仕事です。

少々体力的にきつくても、大型トラック運転手に転職してみたいと思うなら、私は是非やってみて下さいとおススメします。

 

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大型トラック運転手へ転職するとサラリーマンの日常生活がうらやましい

そもそも、サラリーマンと言っていますが、サラリーマンは、『salary(給料)』と『man(男)』を繋げた和製英語です。

主に特定の仕事に従事して、会社から給料をもらって生活をしている者という意味でつかわれています。

と言う事は、会社で働く人は『サラリーマン』で、トラック運転手も『サラリーマン』です。

トラック運転手がサラリーマン?なんかイメージ違いますね。

 

なので、ここで言うサラリーマンは、スーツにネクタイを締めて働く人たちと考えてください。

 

サラリーマンの多くは、決まった時間に出社して、決まった時間に帰社する事がほとんで、たまに残業したり、出張に行ったりしますが、ほとんど毎日家に帰って奥様の手料理や、子供たちの成長を楽しむ事が出来ますね。

 

大型トラック運転手に転職すると、サラリーマンで楽しんでいた時間が無くなるかもしれません。

これは、どんな運送会社に転職するかによって違いますが、大型トラック運転手の多くは、毎日家に帰ってゆっくりテレビを見たり、子供たちとお風呂に入ったり、奥様と晩酌したりは出来ません。

 

この手の時間を失う仕事は、長距離トラック運転手ですね。

 

◆サラリーマンの時間割

1.AM06時30分に、目覚ましにて起床(たまに奥様に起こされることもあり)

2.AM07時00分に、奥様が作った朝食を食べる(独身者は食べない事が多い)

3.AM07時30分に、家を出て会社へ出勤(車、電車、バスなど)

4.AM08時30分に、会社に到着して一服

5.AM09時00分に、仕事開始(デスクワーク、フィールドワーク)

6.PM12時00分に、お昼休憩(コンビニ弁当、愛妻弁当、外食)

7.PM01時00分に、午後の仕事開始(デスクワーク、フィールドワーク)

8.PM06時00分に、終業のチャイムが鳴り響く(キーンコーンカーンコーン)

9.PM07時00分に、会社を出て家路を急ぐ(飲みにいく事もしばしば)

10.PM08時00分に、家に到着(奥様が待つ、子供が待つ)

11.PM08時30分に、暖かい晩御飯を食べながら晩酌(ビールと焼酎をチビチビ)

12.PM09時00分に、暖かい風呂(うたた寝しながら溺れそうになる)

13.PM10時00分に、ひと時の休息(奥様、子供たちと遊ぶ)

14.PM11時00分に、就寝(広いベッド、大きな布団で)

大体のサラリーマンは、こんな感じでしょうか?ポイントは1日で完結しているところでしょうか。

このスケジュールだと、あまり残業は無いので、ホワイト企業と言えるかもしれませんね。

 

さて、それでは恐るべき長距離トラック運転手の1日(?)を見てみましょう。

 

◆長距離トラック運転手の時間割 ※参考例なので、家(月曜日)を起点とします

1.AM06時30分に、目覚ましにて起床(ここはサラリーマンと一緒)

2.AM07時00分に、奥様が作った朝食を食べる(一週間に一回)

3.AM07時30分に、家を出て会社へ出勤(車がほとんど)

4.AM08時00分に、会社に到着して運行管理者による点呼(体調確認的なものだが無い事がほとんど)

5.AM08時30分に、トラックの運行前点検後、積込みへ出発(ライト系、タイヤ周り)

6、AM09時00分に、積込み場所で順番待ち(フォークリフトで1時間、手積みは2時間以上はかかる事も)

7、AM10時00分に、伝票(福岡~千葉行き:運行日程3日)を受け取り出発進行(ここからは気楽な一人旅)

8.PM14時00分に、基本4時間の連続運転で30分の休憩が必要(小さい会社はあまり言われない)

9.PM16時00分に、広島県の中心部を突破(基本下道、きつい時は渋滞ポイントのみ高速自腹)

10.PM20時00分に、兵庫県に突入して晩御飯(基本コンビニ弁当、たまに食堂)

11.AM00時00分に、大阪府をクリアして一安心(眠気が来るまで走り続ける)

12.AM02時00分に、三重県近くで撃沈(トラックが入れるガソリンスタンドで仮眠)

13.AM08時00分に、なんとなく起床(ガソリンスタンドで風呂や歯磨き、あれば洗濯)

14.AM09時00分に、朝の通勤ラッシュが終わったのを見計らって出発(夏はTシャツ短パンでOK)

15.PM13時00分に、静岡県の中心部を突破(ここまで来たら千葉県は目の前)

16.PM17時00分に、東京都に突入開始(下道は16号線が走りやすい)

17.PM20時00分に、千葉県の北部に到着(近くのガソリンスタンドに停車)

18.PM21時00分に、晩御飯(近くのコンビニ弁当とカップラーメンとビール1本まで、食べ過ぎ)

19.PM22時00分に、くつろぎタイム(風呂、歯磨き、テレビ)※深酒は禁物

22.AM00時00分に、トラックのベッドで就寝(意外と快適)

23.AM06時00分に、起床し、荷卸し場所へ移動

24.AM06時30分に、荷卸し開始(フォークリフトで30分、手降ろしは1時間以上かかる)

25.AM07時00分に、帰り荷の確認(有れば積込み場所へ移動、無ければどこかで待機、大体トラックステーション)

26.AM07時30分に、積込み場所に到着(積込みの順番待ち、長い時は2時間待ち)

27.AM08時00分に、積み込み開始(帰り荷はほとんど手積み、フォークリフトはたまにしかない)

28.AM10時00分に、伝票(千葉~福岡:運行日程1日)を受け取り出発進行(手積みで汗だく)

29.AM10時30分に、近くの高速インターチェンジより高速移動開始(運行日程1日<翌着>は全線高速)

30.PM18時00分に、大阪府を通過できれば上出来(睡眠時間の確保の為にノンストップ)

31.AM00時00分に、九州上陸できれば上出来(もう着いたも同然)

32.AM02時00分に、荷卸し場所手前のコンビニに到着(弁当とお茶で晩御飯)

33.AM03時00分に、トラックの運転席で仮眠(トラックのベッドでは寝坊する可能性あり)

34.AM06時00分に、荷卸し場所へ移動し、順番待ち(従業員出社待ち)

35.AM06時30分に、荷卸し開始(朝が早い荷卸し場所は、大体時間を要する手降ろし)

36.AM09時30分に、荷卸し完了(遅くても大体10時)

37.AM10時00分に、会社へ戻り、次の荷物の確認(長距離後は地場を1回はさむ)

38.AM11時00分に、積込み時間まで会社の仮眠室で寝る(家に帰るまでの時間は無い)

39.PM15時00分に、積込み場所へ出発(地場は夜中走って朝帰る1日仕事)

40.AM06時00分に、次の荷物の確認(荷物があれば家には帰れない、無ければ月曜日まで休み)

いやぁ、長いですね。ポイントは1日を完結できないところでしょうか。

例えばですので、細かい突込みは勘弁してください。

 

この様に、長距離トラック運転手は、一度出発したら週末までは家に戻らない事がほとんどです。

また、週末に長距離の仕事が入ると、2週間は家に戻りませんし、下手すると1ヵ月戻らない事もあります。

 

その代わりと言ってはなんですが、給料は跳ね上がります。

長距離トラック運転手の良い所は、給料が高い所ですし、みなさんそれを目的として転職されます。

 

サラリーマンのお仕事みたいに、就業時間は8時間、土日祝日、ゴールデンウィーク、シルバーウィーク、お盆休みは有りません。

お正月休みは有るかもしれませんが、有って1日から3日です。

ここら辺は運んでいる荷物によってかなり違いがありますので、運送会社を決める時にはしっかり確認しましょう。

 

大型トラック運転手がサラリーマンの日常生活を見た時、やはり家族との時間が多く取れる事がうらやましく感じます。

独身者も彼女や、両親と過ごす時間を大切にされる方もいますので、やはりうらやましいでしょう。

 

逆に、サラリーマンからみて、大型トラック運転手の日常生活でうらやましく感じる所は有りましたか?

長距離トラック運転手の時間割を見て、うらやましく思うなら、あなたは長距離トラック運転手に向いてます。

 

もし、長距離トラック運転手のここがイヤだな、と思う所があれば、運送会社を選ぶ時に重点的に確認しましょう。

転職してから気付く事も色々ありますが、転職する前に調べたり、直接確認したりすることが、より自分に合った運送会社を見つけるコツです。

試しに転職してみて、自分に合わないから辞めるということもできますが、転職する労力を考えると事前調査の方が数倍楽だと思いますので、しっかり納得いくまで確認しましょう。

 

最後に一言

運送会社は、まさにピンからキリまでさまざまです。

サラリーマンから大型トラック運転手になろうという方は、大手運送会社の求人募集内容を確認しましょう。

大手運送会社の求人募集内容をベースとして、中規模、小規模、極小規模と見比べた方が良いです。

基準となるものと比較して、就業時間、休日日数、福利厚生、などを見ると分かり易いと思います。

大手運送会社をそのまま選択しても良いですが、それなりの厳しさがあります。

中小運送会社をあえて選択しても良いですが、仕事の質は大手運送会社に比べると落ちます、けど自由度は高いです。

あえて厳しい大手を選ぶも良し、自由度は高いけど仕事内容はキツイ中小を選ぶも良し、これから大型トラック運転手を目指す方は、どちらを選んでもトラックに乗る楽しさは変わりません。

しっかり選ぶことは大切です、良い所に入りたいのも当然ですが、迷い過ぎも良くありません。

一度はスパッと決めてやってみる事です。ガンバッテくださいね。