小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

トラック運転手の仕事の種類や内容は転職する前に決めておく

さてこれから運送業界に入って、トラック運転手を目指す方は、どんな仕事をしようと考えていますか?

一言で『トラック運転手』と言っても、その種類はさまざまです。

トラック運転手として働こうと考えているなら、全ての仕事の種類とはいかないまでも、ある程度の主要な仕事の種類と、それに付随する仕事の内容は、知っておく必要がありますよ。

 

せっかく運送業界でトラック運転手になるなら、できるだけ初めから運送会社選びを失敗したくないですよね。

それなら、是非ともトラック運転手の仕事の種類と内容を知り、できるだけ自分の目指すトラック運転手になれる様な職場を探したいものです。

 

それが最も運送会社選びを失敗しない方法です。

求人情報にどれだけ良い事が書いてあったとしても、それが自分の考えるトラック運転手というモノに合わないなら、どうしてもそれが引っ掛かり長期間働くことが難しいと思います。

 

今回は、運送業界に入る前に知っておきたい、トラック運転手の仕事の種類とその内容について、簡単にまとめてご紹介します。

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トラック運転手の種類とは、免許の種類と車の種類で判別できる

トラック運転手の仕事の種類で思いつくものは、街を多く走っているトラックかと思います。

その種類を見ると何となく仕事の種類が分かります。

大型トラックの仕事と種類

①.ウィング車

 街中を走るトラックの中で最も多い種類のトラックです。

運ぶ荷物は、主に雑貨と呼ばれるモノで、インターネット販売で売買された箱モノの荷物や、お中元お歳暮、紙類や精密機械など、種類はさまざまありますが、その多くは『雨に濡れてはいけないもの』です。

特に気になる積込みは、基本的に『手積み』と考えていた方が良いでしょう。

その中で、たまにパレット積みがあり、フォークリフトでの積み込みがあり、手積みから解放されるときがあるでしょう。

ウィング車には、低床と言われる荷台部分のタイヤが小さく、箱の部分が大きくとられているものがあり、その箱いっぱいに手積みをしなければならない時は、恐ろしくキツイという事を知っておきましょう。

 

②.冷蔵・冷凍車

 簡単に言うと、荷台部分が冷蔵庫になっているトラックで、ウィング車の様に横は大きく開きません。

運ぶ荷物は、主に冷凍食品や冷蔵食品で、スーパーやコンビニなどで取り扱う商品を、工場の倉庫から小口配送する倉庫へ移動する仕事が多いです。

積込みは、基本的に手積みですが、荷台の中にジョルダーと言われるパレットを移動するレールが付いている事が多く、後部の扉からのパレット積みを可能にします。

ジョルダーが付いていない冷凍車や冷蔵車は、パレット積みが出来ない訳ではなく、ハンドリフトなどでパレット積みする事も多くありますので、全て手積みと考えなくていいでしょう。

冷凍車のお仕事で、もう一つ知っておきたいのが、魚市場で活躍する鮮魚と言われる魚を運ぶ仕事です。

この鮮魚を運ぶ仕事は、漁港から市場、市場から市場、市場から港など行く先はある程度決まっていますが、鮮度が命の魚を運ぶので、スピードが最も重要な要素になり、積込みはもちろん、運転も経験がかなり必要になります。

 

③.平ボディ・ユニック車(クレーン付きトラック)

 荷台に屋根の無いトラックで、高さ制限の許される範囲まで背の高いものを積むことが出来ます。

運ぶ荷物は、木材、石材、鋼材、建材などで、雨にぬれても問題ないものが多く、高く積み上げて運ぶものや、長さが長すぎて荷台からはみ出して運ぶものもあります。その中でもやはり雨が厳禁の荷物も有りますが、その時は荷物にシートをかぶせて運ぶ事もあります。

積込みは、基本的に機械積みで、フォークリフトやクレーンなどで積む事がほとんどです。

大型トラックで平ボディのお仕事では、手摘みをする事はほとんど無く、体力的には力仕事のない分楽な方でしょう。

平ボディとクレーンが一緒になっているのが、ユニック車と呼ばれ、平ボディの仕事の種類とほぼ同じような内容ですが、ユニック車の場合は、自クレーンでの積み込みや荷卸しが可能になるので、建設現場での仕事などが多くなります。

ユニック車の運転自体は、大型トラックの免許でできますが、クレーン操作には、移動式クレーンや玉掛けなどの資格を取得しておく必要があります。

 

④.タンクローリー

 荷台が液体を運ぶタンクになっているトラックで、その多くはガソリンや灯油、ガスなどの危険物を運んでいます。

危険物を運ぶためには、危険物を運ぶ資格が必要になり、ガソリンなどは危険物乙種4類などが良く知られている資格です。

積込みは、液体なので機械で行い、力仕事ではないので、毎日の積込みに泣かされることは有りませんが、たまに、タンクの中の清掃などをする場合があるので、その仕事がある場合は大変です。

しかし、火気厳禁である事以外は、体力的にも楽な方ではあるので、離職率は低くなかなか空きがありません。

タンクローリーのお仕事を探すのであれば、けん引免許を取得し、トレーラー運転手として探した方が良いでしょう。

 

⑤.キャリアカー

 車を運ぶためのトラックです。大型トラックのキャリアカーは、基本的に中古車を運んでいると思っても良いです。

主に、オークション会場から落札した販売会社へ運びます。キャリアカーの仕事も力を使わないので、体力的には楽な方とは思います。

ただし、運ぶものが車なので、積込みも荷卸しもかなり気を使います。

特に積込みは、キャリアカーの荷台が車の幅ギリギリで作られているため、キズを付けない様に相当慎重に積み込む必要があり、車幅間隔や前後の間隔も慣れるまでは非常に難しく感じると思います。

しかし、慣れてしまえば体力的には楽な方ではあるので、離職率は低くなかなか空きがありません。

キャリアカーのお仕事を探すのであれば、けん引免許を取得し、トレーラー運転手として探した方が良いでしょう。

 

⑥.ダンプ

 街中を走るトラックの中で、最も大型トラックとかけ離れた存在に見えるトラックです。

大型トラックと言えば、車体の長さが特徴的ですが、ダンプの車体の長さは約8m弱でとても長いとは言えません。

運ぶ荷物は、砂や砂利、アスファルトやコンクリート片など、建設現場や道路工事など土木の現場の荷物を運ぶのがほとんどです。

もちろん積込みは建設機械の、ユンボ(バックホー)やタイヤショベル(ホイルローダー)によって積込まれます。

また、荷卸しに関しても、ダンプはその名の通り、荷台が斜めに傾き、荷物の砂や砂利を荷台から滑り落とす事が出来るので、まったく体力的に苦労する事はありません。

車体の長さが短く、荷物の手積みも無いダンプの仕事で、最も大切なのが現場が工事中である事です。

工事中であると言う事は、道なき道を走る事、断崖絶壁の様な所や川の真ん中など、基本的にまともな場所での積み込みや荷卸しは有りません。

さらに言うと、そのような狭く険しい現場を、ダンプは基本的にバックで走行します。

なぜなら、荷台の荷物を降ろすには後ろしかなく、そのような現場でUターンする場所など無いので、入り口からバックで走行というのが普通です。

 

ここまでが、大型免許で仕事できる大型トラックの種類と仕事内容です。

給料や勤務時間、年間休日数などの条件が全て同じなら、どのトラック運転手を選びますか?

それならできるだけ楽な仕事を選びますよね、やはり楽な仕事にはそれなりの給料と考えて良いでしょう。

 

ここからは、大型トラックより小さいトラックのお仕事を簡単にご紹介します。

 

中型車や小型車の仕事や種類

トラックの形による仕事の種類は、大型トラックとほぼ同じと考えていいでしょう。

しかし、中型車や小型車ならではのお仕事内容がありますので、いくつか見てみましょう。

 

①.1日完結のお仕事

 中型車や小型車は、基本的に1日で完結するお仕事がほとんどです。

中型車の場合は、朝から夕方までの1日か、夕方から朝までの1日と昼夜逆転する事があるとは思いますが、1日で完結する事が多い仕事です。

 

②.走行距離は短い

 長距離はほとんどありません。小型車に関しては無いでしょう。

小型車の多くは、宅配のお仕事なので、朝センターで積込みしたら、各担当地区の個人宅を回り荷物を届けると言った仕事が多いです。

また、中型や準中型のお仕事は、コンビニなどの配送や、他の荷物で県外に出ても隣県位のもので、距離にして300km~400km位なので、走行距離は小型車や中型車は短い方になります。

 

③.運送業界未経験者が多い

 トラック運転手の転職は、良い条件を求めて転職する経験者が多く、その人たちのほとんどは、小型車や中型車で良い条件を探してもなかなか難しいので、大型トラック運転手や、トレーラー運転手としてランクアップして転職する事が多いです。

なので、小型車や中型車に就職や転職をする人たちは、未経験の若手や中堅がそろってきやすくなります。

 

最後に

大型トラック運転手の仕事の種類はいかがでしたでしょうか。

金銭面の事は何も考えずに、トラック運転手として働くなら、どのタイプのトラックに乗りたいですか?

それぞれのトラックの種類によって、仕事の内容も大きく変わってきます。

楽な仕事には、それなりに楽な理由があり、キツイ仕事には、それなりにキツイ理由があります。

運送業界が未経験な人は、運送会社に入る事さえも大変ですし、その上、大型トラックに乗せてもらうまでも大変です。

せっかく入った運送会社、そしてやっと乗れた大型トラックを手放さない様にするためにも、運送会社を決める前に、仕事の内容と、種類をしっかりと見極め、自分に合いそうな運送会社をしっかり選んでください。