近頃は、右を見ても左を見ても、エコカーやハイブリッドカーと呼ばれる低燃費の乗用車が走っています。
さらに、そんな低燃費車をもしのぐ、電気で走る車まで走り回っているではありませんか。
そんなエコカーやハイブリッドカーの燃費は、25km/Lという車もあれば、30km/Lも走る車も有るようです。
低燃費ではありませんが、普通のガソリン車でも8km/L~15km/Lは走ります。
軽自動車になると15km/L~20km/Lも走るようです。
また、ガソリンの値段とか、リッター何キロ走るとか、気にされない様なお金持ちでさえ、エコカーに乗っているし、そもそも高級車がハイブリッド車なので、低燃費で節約という次元ではなく、環境問題の方が大切だという流れになっていますね。
では、環境問題も叫ばれる中、大型トラックの燃費はどのくらいかご存知ですか?
運送業界に関わりの無い方にとって、大型トラックの燃費はびっくりします。
一般的な、ウィング車と言われる大型トラックで、大体2km/L~3km/Lです。
たまに見かけるダンプカーでさえも、3km/L~3.5km/Lです。
ちなみに、大型トラックの燃料は軽油です。
長距離トラックの走行距離は、1日1,000kmとか普通にありますので、2km/Lだと500Lいりますね。
それはさすがに長距離なので、普通自動車と同様に長く走れば走るほど燃費は向上し、一定した速度で走るとさらに燃費は向上します。
それでも、長距離トラックの燃費は良く伸びても、2.8km/L位までというのが実感です。
さて、そんな燃料をぶちまけながら走る大型トラックの燃費を、さらに向上させるにはどうしたら良いのか、という疑問が湧いて来たのではないでしょうか。
そんな疑問にお答えすべく、今回は大型トラックの燃費向上について調査した結果をご紹介します。
大型トラックの燃費を向上させる運転テクニックを身に着けよう
トラック業界は、景気の低迷が続いていたり、道路運送車両法改正や道路交通法改正、特定石油法の廃止などの法の改正、軽油引取税の引き上げなどで非常に苦しくなっています。
また、環境悪化による配慮が必要になり、エコやリサイクルなどが当たり前の世の中になってきています。この様な状況になり、トラックを動かすために最も必要な軽油を、いかに大切に使うのかという事について、今一度考える事が必要になりました。
難しい事はさておき、トラック運転手として勤め続ける為には、自分の運送会社をつぶすわけにはいきません。
そのためには、会社の売上を伸ばし、経費を抑え、利益を上げるしか方法は有りませんね。
売上を伸ばすには、営業力が必要なので、会社自体の努力です。
と言う事で、売上アップは会社に任せるとして、他に利益を上げる方法と言えば『利益=売上ー経費』なので、いかに経費を抑えるかが重要になります。
そこで考えるべき会社の経費ですが、簡単に言うと、会社の経費で一番かかるのは人件費です。
人件費を抑えようとすると、リストラか給料の減額しかありませんので、従業員を大切にする会社では選択肢となりません。
ならば、人件費以外の経費削減を考えるしかありませんね。
そこで登場するのが、人件費の次に経費のかかる燃料費です。トラックを運行する以上燃料費はつきものです。
それは仕方の無い事ですが、そこを少しでも減らすことが出来れば、自然と経費が減り、利益がアップします。
利益がアップすれば会社は潤い、従業員も安泰です。
この様に、燃料費という経費を削減する事が会社への貢献となるなら、プロのトラック運転手として燃費向上を目指してみましょう。
プロのトラック運転手として、燃費には人一倍気を使っている方も、さらに磨きをかけてプロ中のプロになりましょう。
燃費向上の為の基礎知識、トラックの走行抵抗を知ろう
トラックが道路を走る際には、色々な『抵抗』が存在し、その抵抗がトラックに加わる事で、燃費は大きく変わります。
その様な抵抗の事を『走行抵抗』と呼び、トラックに加わる抵抗は大きく4つあります。
空気抵抗
空気抵抗は、車体表面の空気との摩擦により発生する抵抗をいいます。
要は、トラック全面に風があたり前へ進みにくくなる感じですね。これは、トラック運転手がどうこう出来るものではありません。
乗っているトラックが、平ボディであれば空気抵抗は少なく、ウィング車の様な箱車であれば空気抵抗は大きくなると言う事です。
高速走行になればなるほど空気抵抗は大きくなり、特に速度70km以上からの影響は顕著に表れます。
ころがり抵抗
その名の通り、ころがりが良いか悪いかの抵抗で、タイヤの変形によっておこるエネルギー損失で発生する抵抗です。
トラックのタイヤが変形する理由は、車両総重量の重さによるもので、重ければ重い程タイヤは変形します。
それに輪をかけて荷物を積む事により、さらに重量は重くなりタイヤの変形を大きくし燃費を悪くしてしまいます。
ですので、こちらもトラック運転手がどうこう出来るものではありません。
勾配抵抗
坂道を上る抵抗で、車両の重量と坂道の傾斜角度で抵抗の大きさも変わってきます。
簡単ですが、車両の重量が重ければ重い程、坂道の傾斜角度が大きければ大きい程、勾配抵抗は大きくなると言う事です。
と言う事で、こちらもトラック運転手として、何かしら手当をする事はできません。
加速抵抗
加速(アクセルON)する時に発生する抵抗で、加速度と車両の重量で変わってます。
加速をすればする程、車両の重量が重ければ重い程、加速抵抗は大きくなります。
この加速(アクセルON)は、トラック運転手として改善できる事のひとつですね。
しかし、大型トラックに長年乗っていると、どんどん加速に興味がなくなりますので、ほっといても改善されることも多いのかもしれません。
ただし、若者や、未経験者さんなどは、信号が青に変わったと同時に、どうしてもアクセルをベタ踏みしてしまいますので、そこは早めにやさしいアクセルワークを身に着けた方が良いでしょう。
どんなにトラックでスタートダッシュが良くても、乗用車やバイクのスタートには勝てません。
のんびり丁寧なスタートで、燃費向上を目指しましょう。
燃費向上の運転テクニック、プロのトラック運転手には常識
大型トラックの運転手はプロ意識が重要です。
生活の為、家族の為、お金の為、好きだからと、さまざまな理由があってトラック運転手になったと思います。
どんな理由でも、大型自動車一種免許を取得しているので、大型トラック運転のプロである必要がありますね。
このプロ意識は、普通自動車免許でも同様なのですが、やはり意識は低いのが現状です。
ならば、大型トラック運転手だけでも、プロ意識を持って運転し、さらに燃費向上まで目指しましょう。
シフトアップは早め早めに
ベタ移動、いわゆる一般道での走行は、加速、減速、停止、発進を多く繰り返しながらの走行になります。
この発進と加速が燃費向上のカギを握っています。
発進や加速をする時の燃費向上運転テクニックは、控えめなアクセルワークと早めのシフトアップです。
控えめなアクセルワークとは、アクセルの踏み込み方で、ついつい急ぎたいときは、床に穴が開くのではなかろうかと言う位、ベタ踏みしてしまいませんか?
やはり、そこはベタ踏みではなく、半分の50%踏み込みに抑えましょう。
さらに、タコメーターのグリーンゾーンでのシフトアップをする事で、さらに燃費は向上するでしょう。
なるべく高速段を使う
大型トラックのギアの使用頻度は6速~7足と言われており、一般道ではシフトアップが遅いとなかなか高速段を使わない方いるようです。
やはり、低速段の方が加速、減速がしやすく、他の車の流れに沿って走りやすいからなのですが、低速段の走行は燃費に大きく影響します。
大型トラックは、他の車の流れに合わせるのではなく、ゆったりと余裕のある走行しなければなりません。
同じ速で走るなら、低速断より高速段の方が回転数も下がり、燃費向上が可能になるでしょう。
一定した速度の維持で安定走行
夜間など、一般乗用車が少なくなると、トラックが多くなり、ずらっと連なって走っているのを見かけます。
その中に、追い抜きのチャンスを狙っているのか、チラチラはみ出しながら前方の様子を伺うトラックを見かけますが、前方を走るトラックにベタづけして煽っているようにも見えます。
この様な走行は、無駄な減速、加速を繰り返してしまうので、燃費に大きく影響します。
大型トラックの運転手は、その1台を抜いても、到着時間にさほど差は出ない事は知っているはずです。
知らないなら一度、法定速度内で競争してみると分かりますよ。
無駄な減速や加速をしない様に、充分な車間距離を開けるようにしましょう。
一定の速度で走行できる、夜間の信号が少ない道路や、高速道路ではアクセルを一定に保つ事で、燃費向上に大いにつながります。
まとめ
大型トラックの燃費は、普通自動車や軽自動車に比べると相当悪いものと言う事が分って頂けたでしょうか。
運送会社における経費のひとつは、燃料費ですね。
その燃料費を少しでも改善できるのが、トラック運転手の運転テクニックです。
長年トラックに乗っている方と、未経験の方が同じトラックで同じ距離を走ると、使う燃料の量が違うと思います。
まさにこれが経験値です。
少しでも経費を削減し、会社に利益をもたらすことが出来れば、トラック運転手としての会社貢献度も大きくなるでしょう。
燃費削減は、トラック運転手の最大のテーマであり、最大の難関でもありますが、目標を持って取り組むと面白いですよ。
面白い事をやりつつ、会社にとって、手放したくない従業員でありトラック運転手になりましょう。