小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

長距離トラックドライバーは自由な時間が多いというのは本当?

普通自動車の免許を取得して、3年経過していれば大型自動車免許を取得する資格を得られます。

大型自動車免許を取得すれば、運送業界に就職や転職を考えても良いころです。

 

大型自動車免許を取得していない内は、トラック運転手になっても、良い給料は望めません。

良い給料は望まなくとも、トラック運転手の仕事がしてみたいという方は、2トン車や4トン車でのトラック運転手の仕事を探してみても良いかもしれません。

 

しかし、トラック運転手になって家族を養う必要がある方や、トラック運転手として生きていこうと考えている方は、まずは大型自動車免許を取得して、選べる会社の幅を広げる事をおススメします。

 

やはり、2トン車や4トン車では、仕事の種類も少なくなり、選べる運送会社も少なくなってしまいます。

さらに、運送会社に入ってしまうと、大型自動車免許を取得するヒマが無くなってしまうかも知れません。

運送会社の中には、大型自動車免許を取得するための、時間とお金を補助してくれる会社もあるようですが、補助を受けてしまうと、仕事がキツいのに給料が安くても、なかなか辞められなくなってしまうかも知れません。

 

運送業界への就職や転職を考えているのであれば、出来るだけ、大型自動車免許を取得してから考えてみても遅くは無いと思います。

 

もし、今現在サラリーマンをしていて、仕事上での人間関係に嫌気を指していたり、デスクワークに疲れてしまったり、ちょっと体力的に辛くても、給料が見合っていれば良いという方へは、大型トラックドライバーがピッタリかもしれません。

 

特に大型トラックドライバーでも、1人の時間が長く、運転の時間が長く、体力的にキツイけど給料はそこそこ良い方な、長距離トラックドライバーをおススメします。

 

これから就職や転職をお考えであれば、ひとつの選択肢として検討してみても良いかもですよ。

今回は、長距離トラックドライバーの自由な時間について、ご紹介します。

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長距離トラックドライバーは荷物を届ける時間を守れば後は自由

トラックドライバーのお仕事で、最も体力的に辛いのは『長距離トラックドライバー』です。

それでも、トラックのお仕事をするなら、誰しもが一度はやってみようかな、と思う仕事でもあります。

 

それはなぜか、、、最もトラックドライバーっぽいからです。

 

他のトラックのお仕事も、もちろんトラックドライバーですが、長距離トラックドライバーは別格です。

もちろんこれは、大型トラックの中だけで見ての事ですよ。

本来、トラックドライバーの頂点は、トレーラー運転手ですのでお間違えない様に。

 

余談になりますが、トレーラー運転手になる為には、けん引免許が必要です。

トレーラー運転手になろうと思ったら、大型トラック運転手としての経験が無いとほとんどなれません。

トレーラーを所持する運送会社へ就職し、その会社で大型トラック運転手としての経験にプラス信頼を得て、初めてトレーラー運転手としてデビューできる可能性がある、と思っておいて良いでしょう。

 

トレーラー運転手になれた暁には、体力面でのキツさは減少しますが、運転技術の重要性と、精神面でのキツさがのしかかってくるでしょう。

それでも、運送業界で働くなら、トレーラー運転手は目指して頂きたいところです。

 

それはさておき、長距離トラックドライバーのお話へ戻します。

トラックドライバーが仕事上、必ず守るべき事があります。

 

それは『時間』です。

 

荷物を積み込みに行く時間もそうですが、最も大切なのは、荷物を届ける時間です。

地場での近距離運送、中距離運送でも時間厳守は必要な事ですが、距離が近い分、時間を守る事に関しては、そんなに難しい事ではありません。

 

そうです、長距離が別格と言われる点がここにあります。

長距離になればなるほど、時間厳守が難しくなる事は想像できると思います。

長距離トラックドライバーには、道路工事や自然渋滞、交通事故、悪天候による規制など、さまざまな障害物を早急に察知し、回避する知識と経験を要する事が求められます。

 

その荷物を届ける時間さえ守れば、その他の時間の使い方は、ドライバーの自由なのです。

長距離トラックドライバーの時間割

これから長距離トラックドライバーをやってみようかなと言う方は、参考にしてみて下さい。

ただし、この長距離トラックドライバーの工程は、大手運送会社の工程ではなく、小さい運送会社の工程になりますので、その点はあしからず。

 

項目 内容 詳細
出社 時間はまちまち 会社に出社し、点呼と飲酒検査、トラックの運行前点検を運行管理者と実施
出発 積込み時間で変動 会社を出発し、荷物を積み込む会社へ移動
積込み 順番次第 荷物を積み込む会社に到着し、積込みの順番待ち、フォークリフトでの積込みならラッキー
出発 手積みならヘトヘト フォークリフトでの積込み、手積みならもう少し遅くなるが、積込み完了したら伝票を受け取り目的地へ向け出発
運転 楽しみはラジオ 出発したらひたすら運転、音楽を聞きながら熱唱、独り言をブツブツ言いながらひたすら走る
休憩 たまに お腹が空けばトラックが停車できる行きつけのドライブインやコンビニで休憩とご飯
休憩 たまに お風呂に入りたくなればガソリンスタンドやトラックステーションで自前のおふろセットで入浴
運転 車内は快適 休憩をほどよ取りながらひたすら運転、トラックに乗っているうちはTシャツ短パン裸足でOK
休憩 睡眠 眠気に襲われたら眠らないと危ないので、運転席で仮眠、到着まではベッドでの熟睡は危険
再出発 寝坊注意 仮眠を取ったら再出発、初日に距離を稼いでおくと翌日からは結構のんびり
運転 もらい事故が怖い 下道(ベタ)を渋滞や、事故を避けながらのんびり運転、急発進や急ブレーキは燃費に影響するので基本安全運転
休憩 たまに コンビニやドライブインでご飯を食べたり、トイレ休憩などをはさみながら背伸びをしないと腰が固まる
運転 あと少し 荷下ろし場所の状況にもよるが、大型トラックを止められる場所を探してからそこに向かうか、現着するか悩む
到着 深夜 到着したら荷物を降ろす時間まで待機、待機場所によってはお風呂も入る、トラックのベッドでテレビを見ながら安らかに熟睡
荷下ろし 早朝 荷下ろしの時間は結構早い、基本的に手降ろし、リフトだとかなりラッキー、荷下ろし完了したら伝票に受領印もらて完了
確認 帰り荷 帰りの荷物を会社へTELし確認、次の積込み場所へ移動、帰り荷がない時はひたすら待機

 

この参考例は3日工程です。

実際に、関東地区から九州北部を長距離運行した内容になります。

この3日工程をひと月に6回、翌着と言われる全線高速道路の1日工程もたまに入り、たまに地場(近距離)を走ったりしながら1ヵ月をこなすと、給料は多い時で50万弱、安くても35万はもらえました。

 

給料に関しては、運送会社で違うとは思いますが、長距離トラックドライバーの醍醐味は高額な給料もそのひとつです。

常に外食のため、食費は多くかかってしまうので、それなりの給料でないとやっていけません。

また、運転の仕事は運転席をより快適にしたくなるので、最初の内は小物にお金がかかってしまう事もしばしば。

例えば、ハンドルカバーやワンセグ付きカーナビ、トラック用布団やおふろセット、デコデコやインバーターなど、最低限の必需品をそろえるだけでも、結構お金がかかってしまいます。

 

しかし、運転席さえ快適になってしまえば、参考例の3日工程でもお分かり頂けるように、ほとんどが一人での運転です。

人と接触する出社時、積込み時、荷卸し時の3か所でも、社会人としての最低限のマナーさえあれば問題ないです。

人付き合いが苦手な方でも、今現在人付き合いで苦労している方も、長距離トラックドライバーであれば、その苦労もかなり少なくなりますよ。

 

さすがに、全く人との付き合いをしないわけにはいきませんが、人付き合いを頑張る必要は無くなりますよ。

 

少しでも興味が湧いたら、少しでも早めの決断をおススメします。

なぜなら、いち早く長距離トラックドライバーのキツさを知れば、その他の仕事が楽に感じる事が出来ますよ。

さらに、大型トラックドライバーとして、少しでも早く経験値を上げる事で、トレーラー運転手にもなれるかもしれませんよ。

 

せっかく運送業界に入ろうとお考えなら、トレーラー運転手を最終目標にしてみてはいかがでしょうか。

最後に

長距離トラックドライバーの時間割はいかがでしたでしょうか。

なるほど!と思っていただけたら幸いです。もし、ここが分かりにくいなどがありましたらご指摘ください。

運送業界は、慢性的な人手不足です。その理由はさまざまありますが、改正道路交通法による免許制度の変更などが大きく関係していると考えられます。

さらに、規制緩和によって運送会社への参入障壁が低くなり、ブラック企業と言われる会社も少なくありません。

それにより離職率も高くなり、さらに人手不足に拍車をかける事態になっていると思います。

そんな中でも、良い会社は必ず存在しているはずです。

そんな会社を見つけ出す為にも、まずは大型自動車免許を取得し、選べる会社の範囲を広げましょう。

そして、自分に合った運送会社を見つけ出し、定年まで安定した生活を目指しましょう。