小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

トラック運転手の仕事は給料が高い?どんな仕事が高いのか

サラリーマンの一般的な給料って高いのでしょうか。

月々いくらもらってたら高いと言えるのでしょうか。

 

多分一般的なサラリーマンで、自分の給料が高いと思える方はわずかな一握りかと思います。

正直、一握りいるのかどうかも怪しい所ですが、もしかしたら満足できている方も居るかもしれませんね。

 

新卒で一般的な会社に就職して、初任給を頂いたとしたらそれはうれしい事ですよね。

ただ、始めてもらう給料は、多かろうと少なかろうと嬉しいものです。

ところがいつの頃からか、あれ?なんか給料が少なく感じる、、、と思い始める時期があります。

 

それは、友人や知人など、同じタイミングで就職したにもかかわらず、他の会社の方が給料が高い事実を知った時。

また、毎日毎日残業しているにも関わらず、なぜか毎月の給料に変化が見られない時。

自分の方が、偏差値の高い大学に行ったはずなのに、高卒の友達の方が羽振りがいい時。

 

こんな瞬間が目の前に現れた時、初めて冷静に自分の仕事と給料のバランスを見つめ直す事が出来るのです。

 

改めて仕事の量や質と、自分が得ている報酬を比べた時に、それが正当な報酬かどうかを測る物差しはありません。

それは、その会社と全く同じことをしている別の会社が無いからです。

であれば別の方向からとして、同じ業種の会社と比べてみようとしても、今度は、同じ業種の会社の社員の給料が分かりません。

 

こんな感じで、自分の給料が正当かどうかは分からないので、別の業種にで働く友人や知人と比べる事になります。

別の業種と言えど、一般的なサラリーマン同士で給料の差額を競い合っても、対して差は無いかもしれません。

では、一般的なサラリーマンとは言いにくい、トラック運転手と言う職業と比べてみたらどうでしょう。

 

友人や知人にトラック運転手がいるなら、ちょっとばかり競い合ってみて下さい。

今回は、トラック運転手は給料が高いと言われる事が多いのですが、実際にその話が本当かどうかをご紹介します。

f:id:trustretain:20180213224054j:plain

トラック運転手の仕事は一般的なサラリーマンより給料高い?

運送業界に興味が無い方も、トラック運転手は以外に給料が高いと思われている方が多い様です。

もちろん、専門職の様な方にはかなわないし、ヘッドハンティングされるような凄腕ビジネスパーソンとでは比べものにならないので、そこだけはお間違えの無いように。

 

たまに、1千万や2千万を報酬としてもらっている方がいらっしゃいますが、この分類の方達は外れ値として考えます。

俗に言う、一般的なサラリーマンのお話として考えましょう。

 

それでは、その一般的なサラリーマンや、さまざまな業種の専門職、その道のプロと言われる技術職、すべてを含んだ平均年収を調べてみました。

 

平成28年分 民間給与実態統計調査より
1年を通じて勤務した給与所得者については、次のとおりである。
1.給与所得者数は、4,869万人(対前年比1.6%増、75万人の増加)で、その平均給与は422万円(同0.3%増、12千円の増加)となっている。
 男女別にみると、給与所得者数は男性2,862万人(同1.1%増、31万人の増加)、女性2,007万人(同2.3%増、44万人の増加)で、平均給与は男性521万円(同0.1%増、6千円の増加)、女性280万円(同1.3%増、37千円の増加)となっている。
 正規、非正規の平均給与についてみると、正規487万円(同0.4%増、20千円の増加)、非正規172万円(同0.9%増、16千円の増加)となっている。
2.給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300万円超400万円以下の者が522万人(構成比18.2%)、女性では100万円超200万円以下の者が503万人(同25.1%)と最も多くなっている。
3.給与所得者のうち、4,112万人が源泉徴収により所得税を納税しており、その割合は84.5%となっている。また、その税額は9兆418億円(対前年比2.3%増、2,011億円の増加)となっている。
4.給与所得者のうち、年末調整を行った者は4,411万人(対前年比1.4%増、63万人の増加)となっている。このうち、配偶者控除又は扶養控除の適用を受けた者は1,381万人(同0.1%減、1万人の減少)で、扶養人員のある者1人当たりの平均扶養人員は1.47人となっている。

引用:国税庁ホームページ

 

この内容からわかるように、平均給与は422万円となっていますね。

では、一般的なサラリーマンより給料が高いと言われるトラック運転手の平均年収はどうなっているのかと言うと。

トラック運転手の平均年収の範囲は、地区やトラックの種類、業種によってもかなりの差が見られますが、約350万円から480万円、最大年収で650万円程度と言われています。

 

しかし、実際に統計調査で発表されているトラック運転手の平均年収は、393万円程度で一般的なサラリーマンの平均年収より少し低めなことが分かります。

 

それなのになぜトラック運転手は給料が高いと思われているのか。

それは、トラック運転手の仕事の中でも、一部の種類や業種に高額な年収となるものがある為です。

 

トラック運転手で、高額な年収を得ようと思うと、一番最初に考えられるのが独立開業です。

運送会社を起業するのではなく、いわゆる『持ち込みドライバー』といわれる部類で、自家用車としてトラックを所持し、仕事をもらいながら個人でやりくりする方法です。

この方法は、受ける仕事の種類にもよりますが、運送会社から中間マージンのみ取られるだけで、運賃のほとんどが収入となります。運賃のほとんどが収入になると言う事は、働けば働くほど収入は増え、その年収は高額になります。

 

ただし、収入がそのまま利益になる事は無く、燃料費やトラックにかかるその他の経費が必要になります。

燃料費に関しては、軽油の値段が上がれば辛くなりますが、走る事で収入を得る仕事であれば仕方の無い事です。

その他のトラックにかかる経費は、オイル代、タイヤ代等の消耗品、さらに毎年かかる車検代等、その費用はかなり高額になります。

 

ここら辺の経費をうまく削減しない事には、どれだけ高額な年収になったとしても、全て経費で吹っ飛んでしまいます。

ちなみに、この持ち込みトラックをされている方の多くは、地方のダンプが多く、さらにダンプとは別に農業や漁業と言った別の本業を持っている事が多い様です。

 

 

では、現実的な話で、トラック運転手の中で高額な年収を得ているのは、どんな方でしょう。

 

それは、いわゆる『長距離トラックドライバー』ですね。

 

長距離トラックドライバーは、トラック運転手の仕事の中で、最も過酷な仕事と考えられます。

特に、拘束時間を考えると、その長さはには驚かされます。

 

一般的なサラリーマンと言えば、8時出社の5時帰社が基本、残業してもプラス3時間くらいでしょうか。

ブラック企業と言われる様な会社に勤めるサラリーマンは、残業がさらにプラスアルファあると思いますが、かなりの割合でその日の内には家に帰れると思います。

 

長距離トラックドライバーは、8時出社したとしたら、家に帰れるのは速くて週末、遅くて月末です。

 

だからと言ってはおかしいかもしれませんが、長距離トラックドライバーは給料が高いのです。

 

通常のトラック運転手は、一般的なサラリーマンと同じ様な拘束時間で働いています。

同じ拘束時間で働くトラック運転手は、さすがに一般的なサラリーマンと比べると給料は少し低めになってしまいます。

体力的な要素が必要なトラック運転手と、精神的な要素が必要なサラリーマンとでは、やはり差が付いてしまうのは現実です。

 

長距離トラックドライバーは、体力的にも精神的にも強くなくてはやっていけません。

体力的に辛いのは、荷物の積込みや荷下ろし、精神的に辛いのは、延着の許されないプレッシャーなど、その他にも様々な要素があります。

 

f:id:trustretain:20180214013234p:plain 荷物の積込みや積み下ろしは、いまだ手作業での重労働です。

f:id:trustretain:20180214013234p:plain 睡眠時間も荷物が多い時期になると、かなり少なくなります。

f:id:trustretain:20180214013234p:plain 道路状況にすばやく反応し、渋滞を避けなければなりません。

f:id:trustretain:20180214013234p:plain 天候で変わる交通情報を察知し、通行止めを回避しなければなりません。

f:id:trustretain:20180214013234p:plain あおり運転、蛇行運転、意味の分からない運転に注意しなければなりません。

f:id:trustretain:20180214013234p:plain 登らない上り坂、止まらない下り坂に焦ってはいけません。

f:id:trustretain:20180214013234p:plain 家に帰れないので、子供の成長が楽しめません。

 

まだまだ、有りますがこの辺にしておきます。

この様に、さまざまな障害となりうる要素を踏まえて、延着する事無く安全に荷物を届けなければなりません。

 

車運転するだけだから楽じゃね?と思われる方も居るかもしれませんが、それは仕方の無い事かも知れません。

なぜなら、大型トラックに乗ったことも無ければ、その運転の難しさも分かるはずがありません。

しかし、実はこんな苦労があったんだと思っていただければ幸いですね。

 

長距離トラックドライバーは、この様な苦労も含めた上での給料です。

これで、一般的なサラリーマンより低い給料なら、誰もやりたがらないですよね。

それより、毎日帰れる普通のトラック運転手になりますよね。

 

というのが、一般的なサラリーマンよりトラック運転手の給料が高いと言われる理由です。

結果から分かる様に、トラック運転手の中でも、一部のトラック運転手だけが高額な報酬を得られるのですね。

 

最後に

給料が高いと思われがちなトラック運転手と言うお仕事ですが、それにはそれなりの理由があります。

体力面での辛さ、精神面での辛さ、どちらも辛いのですが、最も辛く感じるのは、家に帰れないところでしょう。

新婚さんで、子供が小さいならなおさらですね。

子供の成長はとてつもなく早いです。

長距離運行から帰って来たら、アレ?ハイハイしてる?いつの間に?と言う事も考えられます。

しかし、そんな子供の為、奥様の為に働いているので、仕方ないかもしれません。

経験者曰く、子供が小さい内は中距離までにしておくことを心からおススメします。