小さな運送会社の元専務がトラック業界を謎解き

運送会社を色々見てきて、トラックも色々乗ってきました。4トンから始まり、大型トラック、大型トレーラーのお仕事もやってきて、それにも飽き足らず小さな運送会社を起業しました。そんな小さな運送会社の元専務が運送業界の疑問や就職、転職に役立つ情報をお届けします。

大型トラックの運転席は高い位置にあるから長距離運転も疲れない

普通自動車でドライブしていると前の車が遅くイライラしたことありませんか?

特に急いでいる時やすぐそこのお店に入りたいのになかなか進まないとイライラもピークに達してクラクションを鳴らしてしまう事もあるのではないでしょうか。

 

ちなみにむやみにクラクションは鳴らしてはいけません。

道路交通法うんぬんの前に、トラブルの原因になりかねません(経験者は語る)。

 

法律はと言うと、道路交通法54条2項に、「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」と規定されています。

 

いわゆる違法行為につながってしまうかも知れませんので、クラクションはむやみに鳴らさない方が賢明です。

しかし、そうはいっても周りの車の走行ペースに合っていない運転をされると少々イライラするのは仕方の無いことかもしれません。

 

たぶんそれは普通自動車の運転に慣れているからでしょう。

なんでイライラしてしまうのかを考えると分かるのですが、前の車が遅いからイライラすると言う事を考えると、前の車が遅い理由が分からないからです。

 

前の車が遅い理由が分からないのは、前の車のその前の状況が分からないからですね。

実は前の車が遅いのではなく、前の前の車が遅いのかもしれませんし、それよりもはるか先の車が遅いのかもしれません。

 

はるか先の車が遅いのは、その先で右折車が止まっていたり、故障者がいたり、まさかの事故が起きてたり、ただ単に信号が赤だったりするのかもしれません。

 

普通自動車ではその状況がわかりません。

だからイライラしてしまうのです。(そもそもせっかちな方は見えててもイライラするかもですが)

 

ヒトはイライラするとストレスとなり、そのストレスによって疲れがたまってしまう様です。

だから普通自動車の運転はかなり疲れ、長距離運転なんて元気いっぱいの若い内にしかできないのでしょう。

 

ところが、大型トラック運転手はみなさん若いでしょうか。

そんな事は有りませんよね、運送会社で働くトラック運転手の平均年齢は40代にまで上がっています。

40代が中間ですので、もちろん20代や30代はいますが、現在の運送業界の人手不足を考えると、それより上の年代の方がかなり多いという事になります。

 

それなのに、トラック運転手を続けられると言う事は、大型トラック運転手は運転による疲れをあまり感じないと言う事になりますね。

 

今回はその疑問を解決したいと思いますので、最後までお付き合いください。

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大型トラック運転手が長距離運転しても疲れないのは目線の高さ

普通自動車の運転席は乗り込むときに分かると思いますが、ワンボックスカーやミニバン等で無い限り立っている位置より低い位置になります。

 

その高さは約1.2mで、ワンボックスカーやミニバンでも約1.8mの高さがほとんどです。

中型トラックや大型トラックになると運転席の高さは普通自動車の倍の約2.4mはあります。

 

トラックの運転席が高い位置にあるのは、トラックの構造の問題ではありますが、トラックという車種が荷物を運ぶための車であると言う事に大きく関係しています。

 

トラックは荷物を運ぶための車と言う事は、少しでも多くの荷物を積めるトラックが良いトラックであると言う事になります。

 

まず普通自動車を考えていみると、エンジンは一般的に車両前部についていますね。

たまにミッドシップ(船体中心)もありますので一般的にとしておきます。

 

また、バスはどうでしょう。

バスは運転席が余り高くないと思いませんか?バスは荷物を運ぶ乗り物ではなく、ヒトを運ぶ乗り物なので、荷台を最大限にするのではなく、乗客に快適な乗り心地と乗車しやすい高さを求め設計されていますのでエンジンは車体後部についています。

 

この事から分かる様にエンジンの位置とトラックという乗り物の特性が影響して運転席が高くなっています。

トラックは荷物を積む為の荷台部分を最大限に大きくするためにエンジンは一番前に設置されています。

そのエンジンの上に運転席が設置されているため、自然と運転席は高くなります

 

普通自動車の中でもワンボックスカーと呼ばれる車種は、荷台を広く設計する必要があるのでエンジンは運転席の下にあります。

なので、ワンボックスカーも運転席は普通自動車より高めで、大型バスと同じ位の高さになっています。

 

と言う事で、大型トラックは普通乗用車よりワンボックスカーよりバスより運転席が高い位置についている事になります。

運転席が高いと自然に目線も高くなります。

 

この目線の高さが大型トラック運転手の運転疲れを軽減してくれています。

出典:Mr TKO

こちらのMr TKOさんの動画はトラック運転手目線なので非常に参考になりますよ。

 

この運転席の高さがある事によって、運転時のイライラが相当なくなります。

 

たとえ前の車が遅くても、その前の車が遅くても、なぜ遅くなっているのかという理由がわかります。

そして、その原因があとどれくらいで無くなるのかも見えています。

 

だからイライラもしない上に、普通自動車に比べると格段に疲れません。

ただ一つ弱点があるとしたら、前方に同じ大型トラックがいるとその先が見えない!と言う事ですね。

 

また、大型トラックだとイライラしない理由がもう一つあります。

それは、大型トラックのスピードに乗るまでの遅さが格段に遅い事にあります。

 

普通自動車が信号待ちから、青に変わって車を走らせる時何も考えなくてもスーっとスピードに乗りますね。

ところが大型トラックになるとそうはいきません。

 

荷物を積んでいたらなおの事トラックの出だしは相当遅いです。

だから大型トラック運転手はイライラしないのです。

 

出だしが遅いとイライラしない意味が分からない?

それは、大型トラック運転手が1日で運転する距離は、短くても300km、長いと1,000kmを超えます。

 

それだけの距離を走行していて、いちいちイライラしていたら血管がはちきれてしまいます。

 

それともう一つ、大型トラックは急には止まれないと言う事です。

出だしは遅く、急には止まれないというセットだと車間距離は自然に広がり、普通自動車の割り込みなんてしょっちゅうです。

 

話を戻しますが、大型トラックは運転席の目線が高い事と、出だしが遅く止まれないという理由から車間距離は自然に広がる事から、運転は非常に楽です。

 

とにかく大型トラックの運転は余裕があるのです。

普通自動車でのドライブだと、目的地まで遠くても50km程度、通常は10kmも無いと思います。

しかし、大型トラックでの仕事は走行距離が相当長いので10kmやそこらを急いだところで到着時刻に影響を与えるものではありません。

 

多分ご存じないかもしれませんが、一般道でものすごく飛ばしている乗用車に先を譲ってのんびり後ろ追いかけたとしても、必ずどこかの信号で追いつきます。

さすがに目的地が一緒だったことはありませんので、途中で乗用車は見失いますがほとんどの場合5分も差をつけらる事は有りません。

 

そういう事を知っていると、法定速度をオーバーして捕まるかもしれないリスクを犯すのは考えられません。

特に急いでるときこそ余裕を持って運転した方が、上手な運転と言えるでしょう。

 

もし運送業界に興味があるなら絶対に大型トラック運転手が良いですよ。

 

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最後に

大型トラックの運転席は高い位置にありますので、自然と運転に余裕が生まれます。

さらに、高い位置から乗用車の動きをみると、いろんなことが分かります。

凄く急いでいる車、道が分からない車、携帯電話をしながら運転している車、漫画を読みながら運転している車、弁当を食べながら運転している車、色んな事をしているのが見えるので面白いのですが、恐ろしい動きをするのもそんな車です。

大型トラック運転手を長く続けると、そんな車の動きが手に取る様に分かりますよ。

すると、乗用車を運転しても無駄に飛ばしたり、車間距離を詰めたりと捕まるリスクやトラブルの原因となるようなことはしなくなります。

助手席に誰かを乗せて運転する時に、助手席の方に安心してもらえるような運転を心がけたいものですね。