ピカピカのスーツを着込んで通勤する若者が増えてきました。
新卒からの初めての就職はドキドキとワクワクで胸も躍りだしているのでしょう。
そんな季節を迎えたころから増える退職希望者。
右も左も分からなかった新入社員とは違い、会社の表も裏も知った5年目や10年目の働き盛りに起きるギャップがそろそろ今の会社に見切りをつけて、違う世界へ飛び込んでみようします。
今と同じ業種では今と同じ環境しか生まれないかもと考えた方の多くは、全くの未知の世界へ飛び込んでみたくなります。
デスクワークやラウンドワークといった一般的な事務職や営業職からサービス業や建設業、デザイナーやプログラマーといった専門的で個人の実力を試せる世界へ進む方も多くいます。
そんな世界とはまた違う、対人関係や出世競争等とは無縁で自分の腕一本で稼ぐ運送業界へ進む方も少なくありません。
しかし、運送業界は世間一般から見るとあまり良い印象を持たれている方がいないのも現実です。
それは運送業界と言えばトラック運転手、トラック運転手といえば怖い人が多い、怖い人は怖い人みたいな悪い印象ばかりが先行しているためでしょう。
確かにトラック運転手は勉強ができなくても大丈夫ですし、愛想が少々悪くても大丈夫です。
難しい計算もする事ありませんし、エクセルやワードが出来なくても問題ありません。
接待ゴルフや接待麻雀、上司との付き合いも有りませんし、部下への気遣いなども全く必要ありません。
とは言っても、運転技術と責任感と場合によっては体力は必要です。
運転技術はトラックだけではなく、フォークリフトだったり、クレーン操作、パワーショベルやブルドーザーなんかも運転する仕事もあったりします。
それはさておき、最も重要なのは『責任感』です。
トラック運転手の仕事は基本的には1人ですので、責任感の無い方には大切なお客さんの荷物を運ばせることはできません。
それに、運ぶためのトラックも地方に家が建つ位の値段がする高価なものですので、責任感を持って大切にしてもらわないとどれだけ頑張って売り上げを伸ばしてもトラック1台無駄にすれば全て水の泡です。
もちろん一般の事務職や営業職の方も責任感をもって仕事をしているとは思いますが、1人が失敗してもその会社のほんの一部が影響を受ける位で、会社の存続にかかわるほどの責任はかかっていないのが実情です。
しかし、トラック運転手にかかる責任は1千万を超えるトラックと、金額も分からないほどの大切な荷物と、荷物を任せてくれた荷主さんの信用という会社の存続をも担う責任をおっているのが実情です。
大手運送会社や準大手、中堅クラスの運送会社であれば1人が失敗しても他の売上がカバーしてくれるかもしれませんが、零細企業の運送会社になると1人の失敗が会社の存続をも危険にさらす事になりかねません。
運送業界は人手不足と言われていますが、そんな責任をおってまでしたい仕事では無いと思う方も居れば、そんな責任を負わせる事の出来る方ではないと思う会社側の考えも有ります。
これに輪をかけて改正道路交通法による免許区分の増加、規制緩和による運送会社の増加、運賃値下げ競争による賃金の低下などがさらなる人手不足を読んでしまってます。
そんな人手不足を解消しようと運送業界は今必死に業務改善や待遇改善に取り組んでいます。
その結果が求人情報に現れている運送会社が増えてきています。
運送業界へ転職するならまさに今でしょう。
全く別の業界から転職しようと考えているなら尚の事今がチャンスです。
運送業界の改革が進んで、改善がなされた後は未経験の方が入る隙間は無くなってしまいます。
まさに今、より良い求人情報を探し求めて、自分の求める待遇に近く、自分の生活スタイルに合った運送会社を探してドンドン面接に行ってみましょう。
- 運送会社の面接ってどんな格好で行ったらいいの?
- 運送会社の面接って何を持って行ったらいいの?
- 運送会社の面接って何を聞かれるの?
そんな疑問を持っている方に少しでもお役に立てるように実際の例をもとにご説明します。
運送会社の面接で第一印象でダメだと思わせる格好と行動
とある小さな運送会社で専務という肩書で人事を任されていた頃、求人募集の広告から応募してきた30代の男性のお話です。
とその前に、運送会社の面接にどんな格好をしていくのが良いんだろう?と考える方が多いのですが、それがなぜなのか分かりません。
採用の面接に行くならスーツが当たり前!と思っていたので、なんで服装で悩むのか分かりませんでした。
ところがそんな当たり前を覆したのがこの応募してきた30代の男性でした。
第一報の電話での面接依頼では、丁寧な言葉使いで少し元気はありませんでしたが、特に問題は感じませんでした。
面接当日、会社のドアをノックして入ってきた時の顔は少し戸惑いを隠せない感じで、気の弱そうな面持ちでしたので「どうぞ」と声をかけ事務所に招き入れ、全身があらわになった瞬間、私の常識は覆されました。
もちろんスーツではなく、ジャケットでもなく、ジャンバーでもなくTシャツでした。
確かに少々汗ばむ季節でしたので、普通の方ならTシャツでもなんら問題ないのですが、採用面接ですよ?
さらに下半身はジーパンです。
それもボロボロな相当ダメージを食らったジーパンです。
街中で見かけたらちょっとイイネと思わせるダメージジーンズです。
となると靴はスニーカーか?と思いましたがそこはなぜか革靴です。
先っぽが反り繰り返った上に、とんがりまくった革靴です。
ちょっとイケてるにーちゃんの格好です。
顔は気弱そうでも体はデカい、格好はイケてるにーちゃん。
一瞬で追い返したい気持ちをぐっとこらえ、応接室に通し履歴書と職務経歴書を提出して頂きました。
履歴書を確認すると前職も運送会社、専門学校まで卒業している様で学歴も問題なし。
履歴書の所持免許欄を確認すると大型自動車免許も取得しているので全く問題なし。
続いて職務経歴書ですが、運送会社の面接を受ける方で職務経歴書を持ってこない方が多いのですが、職務経歴書は前職でどの様な仕事をしていたのかというのを把握するためには必要な書類ですので、必ず記入して持参した方が良いです。
まして、前職が運送会社であれば運転していたトラックの形、運んでいた荷物の種類、定期便か臨時便か、長距離か地場かなど細かく書けば書くほど採用する側にとってはありがたい事なのです。
話は戻ってイケてるにーちゃんですが、これが不思議と職務経歴書はしっかり記入されていました。
前職は4トン車で地場の箱モノ輸送を主にやっていたとの事、志望動機は大型トラックでの長距離運送がしたいとの事でした。
格好は少々気になりましたが、職務経歴書を見る限りでは問題無し、人手不足で運転手がすぐにでも欲しい所でしたのでかなり悩みました。
本当なら格好だけで不採用です。
その他がしっかりしていたので困ったものです。
一応こちらからは長距離運行の日報を見せ、給料体系や福利厚生等を説明し、準備しているトラックを見せました。
そこまでしたところで、一応免許証の確認をお願いしたところ「本日不携帯」との事。
今日はどうやって来たんだ?と思いながらも「免許証と運転記録証明書」の提出を翌日に持参する様にお願いしました。
そして本日の面接終了です。
まさか運送会社の面接に来て免許証を持参しないってのはかなり怪しい感じがしましたので、とりあえず前職として記入されていた運送会社へ確認の電話を入れてみました。
やはり思った通りです。
交通違反の累積点数がリミットを超え、長期免停となり退職していたようです。
しかも仕事中のトラックでの違反ではなく、私用での普通自動車で違反が累積したとの事。トホホです。
これまた予想通り、免許証と運転記録証明書を持って来ることも無く、二度と姿を現すことは有りませんでした。
こんなことは運送会社の面接では日常茶飯事です。
面接官は採用した人間に責任を持つ必要がありますのでいくら人手不足でも安易には採用しません。
最低限のマナーや言葉づかい、必要な提出物があって初めて面接スタートです。
運送会社だからといって私服や作業服で面接に挑むのは止めておきましょう。
運送会社の面接マナー
- スーツに白いワイシャツ、ネクタイを着用する
- 言葉づかいは「です」「ます」口調で十分に注意
- 履歴書は出来るだけきれいな字で記入
- 履歴書に空白を作らない「特になし」も必ず記入
- 履歴賞には写真を張り付ける
- 職務経歴書は詳しく記入する
- 押印欄があれば必ず押印する
- 前職の退職理由(例:長距離に乗りたいから)も記入しておく
- 志望動機(例:大型に乗りたいから)も必ず記入しておく
ここがスタートです。
後はやる気と責任感のアピールです。
特に未経験の方はどれだけ自分を売り込めるかが勝負ですよ!
最後に
運送会社は誰かに気を使ってぺこぺこしながら働くところではありませんし、何かしらのしがらみがあるような所でもありません。
どちらかというと1人で黙々と仕事をこなす事ができる方に向いている仕事です。
どんな会社でも同じですが、責任感を持っているやる気のある方であれば問題なく採用されるはずです。
後は採用されるようにどれだけアピールできるかです。
面接は何人も面接をしていて色んな人を見ていますので、あなたがどんな人間かは話せば分かります。
やはりお話はしないとなかなか分かりずらいので、できるだけ面接官とお話できるくらいの引き出しは準備しておきましょう。